こんにちは、サイト管理人のポップです。
毎日映画を観続けて10年以上、それでもまだまだ観たい作品が尽きない映画オタクです。
今日は、Amazonプライム・ビデオのラインナップでふと目に留まった、あるいは誰かにおすすめされて気になっているかもしれない一本の映画についてお話しします。
その映画とは、『ナイトメア・アリー』です。
ポスターやサムネイルを見て、「ちょっと怖そうだな」「難しそうかな?」と迷っているあなた。
あるいは、「長い映画だからハズレだったら嫌だな」と躊躇しているあなた。
その気持ち、痛いほどよくわかります。
特に本作は、醸し出す雰囲気が独特ですから、手放しで「全員におすすめ!」とは言い難いオーラを放っています。
しかし、断言させてください。
もしあなたが「質の高い映画体験」を求めているなら、この映画は間違いなくその欲求を満たしてくれます。
物語の筋書きを詳しく知らなくても、ただその映像世界に身を浸すだけで、日常を忘れる特別な時間を過ごせるはずです。
まずは、本作の基本情報をご覧ください。
- 主演:ブラッドリー・クーパー(『アリー/ スター誕生』『アメリカン・スナイパー』)
- 主な共演者:ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラ
- 監督:ギレルモ・デル・トロ
- 上映時間:約150分
あらすじや作品情報など、正確な情報を記載するように注意しておりますが、何分個人で運営しているため、誤りや見落としがあるかもしれません。(特に上映時間は調べる先で1~2分違うので約〇〇分としています。)記事は、わたし個人の感想からきているものです。あらゆる基準がわたしの主観的な判断のよるものなので、ご了承の上、読んでいただけると幸いです。
『ナイトメア・アリー』という極上の悪夢

本作は、華やかなショービジネスの裏側に潜む人間の業や、逃れられない運命をスリリングに描いたサスペンス作品です。
「モンスター」が出てこない映画でありながら、人間の心の奥底にある怪物を描き出す手腕は、圧巻の一言。
ネタバレは一切なしで、この作品がなぜあなたの2時間半を捧げるに値するのか、その理由をじっくりと紐解いていきましょう。
ギレルモ・デル・トロ監督の新境地
映画ファンならその名を知らぬ者はいない鬼才、ギレルモ・デル・トロ。
彼の名前を聞いて『パンズ・ラビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』といった、美しくも切ないファンタジー作品を思い浮かべる方も多いでしょう。
彼は長年、異形のクリーチャーや幻想的な世界観を通して、虐げられた者への愛や社会の不寛容を描いてきました。
しかし、本作『ナイトメア・アリー』には、彼が得意としてきた「超自然的な怪物」や「魔法」は一切登場しません。
これは彼のフィルモグラフィーにおいて、非常に珍しい、あるいは挑戦的な一作と言えます。
魔法も幽霊もいない、現実の人間社会だけを舞台にしたこの物語で、デル・トロ監督は何を描こうとしたのか。
それは、「人間そのものの恐ろしさと脆さ」ではないでしょうか。
ファンタジー要素を封印してもなお、画面の隅々まで行き届いた「デル・トロ節」は健在です。
むしろ、現実を舞台にしているからこそ、彼の美学がより研ぎ澄まされ、残酷なまでに美しく機能しています。
雨に濡れた路地裏、怪しげなカーニバルのテント、洗練された都会の建築物。
どのカットを切り取っても絵画のように美しく、同時にどこか居心地の悪い不安感を煽る演出は、さすがとしか言いようがありません。
豪華キャストが織りなす演技の饗宴
本作を観るべき最大の理由の一つ、それは「スクリーンを埋め尽くす圧倒的なスターたちの演技合戦」です。
主演のブラッドリー・クーパーは、野心に燃える男スタンを演じています。
彼がキャリアの中で見せてきた爽やかな笑顔やヒーロー的な振る舞いはここにはありません。
あるのは、成功への渇望と、底知れぬ不安を目に宿した一人の男の姿です。
言葉少ななシーンでも、彼の背中や表情の微細な変化が、スタンの内面にある危うさを雄弁に物語っています。
そして、物語の鍵を握る謎めいた精神科医を演じるケイト・ブランシェット。
彼女の登場シーンだけで、この映画の格が一段上がったかのような錯覚を覚えるほどの存在感です。
冷徹で知的、そして危険な香りを纏った彼女の演技は、まさに「ファム・ファタール(運命の女)」そのもの。
ブラッドリー・クーパーとの対峙シーンにおける緊張感は、アクション映画のバトルシーン以上のスリルを生み出しています。
さらに、脇を固める俳優陣も主役級ばかりです。
ウィレム・デフォーの怪演、トニ・コレットの哀愁漂う演技、ルーニー・マーラの純真無垢な佇まい。
それぞれのキャラクターが強烈な個性を放ちながらも、物語という大きな歯車の中で完璧に機能しています。
「いい演技を観た」という満足感だけで、鑑賞料金以上のお釣りがくると言っても過言ではありません。
視覚と聴覚を刺激する芸術的な映像美
映画は「総合芸術」であるとよく言われますが、『ナイトメア・アリー』ほどその言葉が似合う作品はありません。
特筆すべきは、その美術セットと衣装、そして照明の美しさです。
物語の前半、舞台となる1930年代後半のカーニバル(巡回見世物小屋)の描写は、埃っぽさと湿り気、そして不思議な高揚感が入り混じった独特の空気を纏っています。
古びたテントの質感や、看板のペンキの剥げ具合まで作り込まれたセットは、観客を一瞬でその時代へとタイムスリップさせてくれます。
一方で、物語の後半で描かれる都会のシーンでは、アール・デコ様式の洗練された建築や豪華な調度品が、冷ややかな輝きを放ちます。
この「泥臭いカーニバル」と「洗練された都会」の対比が、主人公の運命の変遷を見事に視覚化しているのです。
また、光と影を巧みに操る「ノワール」な映像表現も必見です。
登場人物の顔に落ちる影一つにも意味があり、セリフ以上に彼らの心理状態を語りかけてきます。
もしご自宅の環境が許すなら、ぜひ部屋を暗くして、この計算し尽くされた光と影の芸術に没入してください。
『ナイトメア・アリー』を味わうポイント

ここからは、作品の具体的な内容には触れずに、どのような心構えで観るとより楽しめるか、本作が持つ「ジャンル的な魅力」について深掘りしていきましょう。
ネタバレはありませんので、ご安心ください。
ノワール映画としての深淵な魅力
「フィルム・ノワール」というジャンルをご存知でしょうか?
かつてハリウッドで隆盛を極めた、犯罪や退廃、そして破滅的な運命を描く映画スタイルのことです。(参照:コトバンク フィルム・ノワールとは )
『ナイトメア・アリー』は、現代の技術と感性でこのジャンルを蘇らせた「ネオ・ノワール」の傑作と言えます。
このジャンルの魅力は、ハッピーエンドや勧善懲悪といった単純な図式では割り切れない、大人の苦味にあります。
主人公は必ずしも清廉潔白なヒーローではなく、欲望や弱さを持った等身大の、あるいはそれ以上に欠落した人間として描かれます。
彼らが自らの選択によって運命の迷路へと迷い込んでいく様は、見ていてハラハラすると同時に、「もし自分だったらどうするか」という問いを突きつけられるような感覚に陥ります。
本作でも、成功を夢見る主人公が、自身の才能と野心を武器にのし上がろうとする過程が描かれます。
しかし、ノワール映画の常として、光が強くなればなるほど、足元に伸びる影もまた濃くなっていくのです。
その「転落の予感」こそが、この映画を貫く最大のサスペンス要因です。
「何かが起こりそう」という不穏な空気が、最初から最後まで途切れることなく続きます。
この持続する緊張感こそが、本作の真骨頂であり、サスペンス映画好きにはたまらないご馳走となるでしょう。
2時間半があっという間の没入感
上映時間が約150分と聞くと、「長いな」と感じる方もいるかもしれません。
現代のタイパ(タイムパフォーマンス)重視の風潮の中では、少し勇気のいる長さですよね。
しかし、実際に観始めてみると、その長さを感じさせない構成の妙に驚かされるはずです。
映画は大きく分けて「カーニバル編」と「大都会編」の二部構成のような作りになっています。
前半のカーニバル編では、主人公がショービジネスの基礎を学び、人間関係を築いていく「成長と発見」の物語として楽しめます。
ここでは、見世物小屋という特殊な環境の裏側を覗き見ているような、知的好奇心をくすぐられる面白さがあります。
そして後半の大都会編では、前半で培ったスキルを武器に、主人公がより大きな賭けに出る「スリルとサスペンス」が加速します。
前半で丁寧に種まきされた伏線や人間関係が、後半になって思わぬ形で実を結んだり、あるいは歪な花を咲かせたりする展開は、脚本の巧みさを感じずにはいられません。
ゆったりとしたテンポで進んでいるようでいて、実は無駄なシーンが一つもない。
すべてのカット、すべてのセリフが、クライマックスへ向けての布石となっています。
だからこそ、画面から目を離すことができず、気づけば2時間半が経過しているのです。
「長い映画を観た」という疲労感ではなく、「濃厚な小説を一冊読み終えた」ような充実感が残るはずです。
『ナイトメア・アリー』は観る価値あり
結局のところ、Amazonプライム・ビデオでこの映画を観るべきか迷っているあなたへ、私が最後にお伝えしたいことはシンプルです。
「映画に浸る」という体験を求めているなら、再生ボタンを押して損はありません。
もちろん、ド派手な爆発やわかりやすいコメディを求めている時の選択肢ではありません。
また、血生臭いシーンが全くないわけではないので、極端にグロテスクな描写が苦手な方は少し注意が必要かもしれません(ただし、ホラー映画のような直接的な恐怖演出とは異なります)。
ですが、もしあなたが「映画ならではの映像体験」や「俳優たちの本気の演技」、「心に残るストーリー」を求めているなら、これ以上の選択肢を見つけるのは難しいでしょう。
見終わった後、すぐには現実に戻れないような余韻。
友人と語り合いたくなるような、あるいは一人で静かに噛み締めたくなるような深み。
そんな映画体験が、自宅にいながらにして味わえるのです。
今夜は部屋の明かりを少し落とし、好きなお酒や温かい飲み物を用意して、『ナイトメア・アリー』の世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
その先には、美しくも恐ろしい、忘れられない悪夢があなたを待っています。
参照:映画.com ナイトメア・アリー : 作品情報・キャスト・あらすじ
記事は投稿した当時、amazonプライムビデオで配信されていたものです。
現在配信されているか最新の状況は、必ずamazonプライムビデオサイトにてご確認をお願いします。


