こんにちは、映画管理人の「ポップ」です。
みなさんは、ひとりで食事をするとき、ふと「誰かに見られているんじゃないか」という奇妙な居心地の悪さを感じたことはありませんか?
あるいは、宅配便が届いたとき、ドアの向こうに立っているのが本当に配達員なのか、一瞬だけ疑ってしまったことは?
今回ご紹介する作品は、そんな現代人の心の隙間に忍び寄る「ありふれた日常の恐怖」を描いた韓国映画です。
Amazonプライム・ビデオのラインナップを眺めていて、ふと目にとまったこのタイトル。
もしあなたが、「ただのホラーは飽きたけれど、背筋が凍るような刺激的な2時間を過ごしたい」と思っているなら、この選択は間違いなく当たりです。
『冬のソナタ』で日本中を涙させた伝説の女優チェ・ジウが、長い沈黙を破ってスクリーンに復帰したことでも話題になりましたが、本作は決して甘いロマンスではありません。
むしろ、その対極にある「予測不能な悪意」が渦巻くサスペンス・スリラーです。
「怖いのは嫌だけど、面白いものは見たい」「ハズレ映画で時間を無駄にしたくない」。
そんなあなたの不安を解消するために、物語の核心には一切触れず、この映画が持つ独特な雰囲気と、観るべき理由をじっくりと語らせてください。
読み終わる頃には、きっと再生ボタンを押したくなっているはずです。
【作品データ】
- 主演:チェ・ジウ
- 主な共演者:イ・ユミ(『イカゲーム』)、ミンホ(SHINee)、ピオ(Block B)、ハ・ダイン、チョン・ドンウォン
- 監督:チョン・ボムシク(『コンジアム』)
- 上映時間:約1時間53分
あらすじや作品情報など、正確な情報を記載するように注意しておりますが、何分個人で運営しているため、誤りや見落としがあるかもしれません。(特に上映時間は調べる先で1~2分違うので約〇〇分としています。)記事は、わたし個人の感想からきているものです。あらゆる基準がわたしの主観的な判断のよるものなので、ご了承の上、読んでいただけると幸いです。
映画『ニューノーマル』が描く日常の恐怖

この映画が他のスリラーと一線を画しているのは、舞台が徹底して「私たちの知っている現代社会」であるという点です。
幽霊が出るわけでも、ゾンビが追いかけてくるわけでもありません。
描かれるのは、ソウルという大都会で暮らす人々の、あまりにもリアルな孤独と不安です。
タイトルにある「ニューノーマル」という言葉。
これはパンデミック以降の新しい生活様式を指す言葉として定着しましたが、本作ではその意味が少しねじれて解釈されているように感じます。
孤立が進み、他人との関わりが希薄になった世界で、これまでは「異常」とされていたことが、いつの間にか「日常(ノーマル)」になり代わっている……そんな不気味な肌触りが、映画全体を覆っているのです。
Amazonプライム・ビデオで配信されている多くのスリラー作品の中でも、本作の空気感は異質です。
派手な音響で驚かせるのではなく、静かな部屋に響く時計の音や、スマホの通知音といった生活音が、次第に緊張感を高める装置として機能しています。
現代ソウルに潜む闇とサスペンス
物語の背景となるのは、女性ばかりを狙った連続殺人事件が世間を騒がせているソウル。
しかし、映画がフォーカスするのは事件そのものの捜査過程ではなく、その街で生きる個々の市民たちです。
一人暮らしのマンション、深夜のコンビニ、マッチングアプリでの出会い。
これらは現代人にとって、あまりにも身近なシチュエーションですよね。
本作は、そうした「安全だと思い込んでいる場所」や「ありふれたツール」が、ふとした瞬間に死角となり、悪意の入り口に変わる瞬間を巧みに切り取っています。
特に「おひとりさま(ホンバプ)」文化が定着した韓国社会の側面が、サスペンスのスパイスとして効いています。
誰にも干渉されずに一人でいる時間は自由で快適なはずなのに、本作を観ていると、その孤立こそが最大の隙であるかのように思えてくるのです。
「助けを呼んでも誰も気づかないかもしれない」という原初的な恐怖が、洗練された映像と共に脳裏に焼き付けられます。
『コンジアム』監督の斬新な演出
本作のメガホンを取ったのは、韓国ホラー映画界の鬼才、チョン・ボムシク監督です。
彼の名前を聞いてピンときた方もいるかもしれません。そう、廃病院を舞台にしたPOV(主観映像)ホラー『コンジアム』で、観客を恐怖のどん底に突き落としたあの監督です。
『コンジアム』では臨場感あふれるドキュメンタリータッチの手法で恐怖を演出していましたが、本作『ニューノーマル』では打って変わって、非常にスタイリッシュで計算され尽くした映像美を披露しています。
鮮やかな色彩設計、独特なカメラアングル、そしてブラックユーモアを交えたテンポの良い編集。
これらが組み合わさることで、単なる「怖い映画」ではなく、「ポップで不気味なアート作品」のような質感を生み出しています。
監督の作家性として特筆すべきは、「音」の使い方です。
日常的な音が、恐怖の予兆へと変わる瞬間の演出は鳥肌もの。
また、章立てされたオムニバス形式を採用することで、観客の集中力を途切れさせず、次々と異なる種類の恐怖を提示してくる手腕はさすがと言わざるを得ません。
豪華俳優陣とK-POPアイドルの競演
本作を観るべき大きな理由の一つが、その豪華すぎるキャスティングです。
「え、この人がこんな役を?」という驚きが連続します。
まずは、日本でも絶大な知名度を誇るチェ・ジウ。
「涙の女王」として知られる彼女が、本作では冷ややかな笑みを浮かべるミステリアスな女性を演じています。
彼女の優雅で美しい佇まいが、逆に不穏さを増幅させ、これまでのイメージを良い意味で裏切ってくれます。
彼女の演技を見るだけでも、この映画には価値があります。
そして、世界的大ヒットドラマ『イカゲーム』で強烈な印象を残したイ・ユミ。
彼女の持つ独特の幸薄そうな(褒め言葉です)雰囲気と、芯の強さを感じさせる眼差しは本作でも健在。
平凡な日常を送る女性が、非日常に巻き込まれていく過程をリアルに演じています。
さらに、K-POPファンにはたまらないのが、SHINeeのミンホとBlock Bのピオ(P.O)の出演です。
普段のステージ上の華やかな姿とは全く異なる、等身大の青年や、少し屈折したキャラクターを演じきっています。
アイドル映画という枠には決して収まらない、彼らの「俳優」としての本気度が伝わってくるはずです。
『ニューノーマル』で味わう極上の緊張感

映画を見るとき、みなさんは何を求めますか?
感動でしょうか、笑いでしょうか。
もし「退屈な時間を忘れさせてくれる没入感」を求めているなら、本作は最適な選択肢です。
物語は、それぞれ独立しているようでいて、どこか奇妙にリンクしていく複数のエピソードで構成されています。
この「つながり」に気づいたとき、単なるオムニバス映画以上の深みが生まれます。
Amazonプライム・ビデオで配信されているスリラー作品の中でも、脚本の構成力と構成の妙において、本作は頭一つ抜けている印象を受けました。
孤独な食事に忍び寄る非日常
本作のテーマの一つとして「食」や「孤独」が見え隠れします。
一人でご飯を食べるシーンが何度か登場するのですが、それが決して寂しいだけの描写ではなく、現代人のライフスタイルそのものとして描かれています。
しかし、その平穏な食事の風景に、微量な毒が一滴垂らされるように、少しずつ異常事態が混入していきます。
隣の席の会話、ふと目が合った他人、店員の些細な言動。普段なら見過ごしてしまうような違和感が、雪だるま式に膨れ上がり、取り返しのつかない事態へと発展していく様は、まさにジェットコースター。
「自分も明日、同じ目に遭うかもしれない」というリアリティが、フィクションの壁を越えてこちらの心臓を掴んできます。
見終わった後、一人で夜食を食べるのが少し怖くなるかもしれません。
テンポよく進むオムニバスの魅力
「2時間の映画だと、中だるみして飽きてしまう」という方にも、本作は強くおすすめできます。
その理由は、複数のエピソードがリズミカルに展開するオムニバス形式だからです。
各エピソードは比較的短くまとめられており、それぞれが異なるトーンとジャンルの恐怖を持っています。
ある話は心理的なサスペンス、ある話はブラックコメディに近い不条理劇、そしてある話は純粋な恐怖……と、次々と味が変わるコース料理のように楽しめます。
飽きる暇がないまま、物語は加速していき、気づけばエンディングを迎えているでしょう。
短い尺の中でキャラクターの個性を立たせ、きっちりとオチをつける(あるいは不穏な余韻を残す)監督の手腕は鮮やかです。
スマホを見ながらの「ながら見」を許さない引力が、この作品にはあります。
予測不能な『ニューノーマル』の結末
最後に、この映画体験がどのような感情を残すのかについて少しだけ触れておきます。
ネタバレは厳禁ですので詳しくは言えませんが、本作は「勧善懲悪」や「ハッピーエンド」といった典型的な枠組みを軽々と飛び越えていきます。
登場人物たちの運命が交錯した先に待っているのは、爽快感というよりも、ある種の「納得感」と「戦慄」が混ざり合った複雑な感情です。
それはまさに、現代社会の不条理さを煮詰めたような味。
「そう来たか!」と膝を打つ展開もあれば、「嘘でしょ……」と絶句する展開もあるでしょう。
しかし、その全てが『ニューノーマル』というタイトルに集約されていく感覚は快感です。
Amazonプライム・ビデオでの映画鑑賞。
今夜のパートナーに、この美しくも残酷なソウルの物語を選んでみてはいかがでしょうか。
見慣れた自分の部屋が、少しだけ違って見えるかもしれません。
★管理人の一言
チェ・ジウ様のオーラが凄すぎて、画面に映るだけで緊張感が走ります。
あと、夜中にインターホンが鳴っても絶対に出ないと誓いました。
記事は投稿した当時、amazonプライムビデオで配信されていたものです。
現在配信されているか最新の状況は、必ずamazonプライムビデオサイトにてご確認をお願いします。


