「就職活動」。それは、多くの人が経験する人生の岐路であり、綺麗事と本音が交錯する独特な空間です。
もし、その最終面接が、互いの「嘘」を暴き合うデスゲームのような場に変わってしまったら?
Amazonプライム・ビデオのラインナップに並ぶ、目を引くタイトル『六人の嘘つきな大学生』。
ポスタービジュアルから漂う不穏な空気と、今をときめく豪華若手キャストの共演に、再生ボタンを押すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
「話題作らしいけれど、ハズレだったら時間は返ってこない」「ミステリーは好きだけれど、ネタバレを踏んで興醒めするのは絶対に嫌だ」。
そんな映画ファンの切実な悩みに応えるべく、今回は本作の魅力をネタバレ一切なしで徹底解説します。
今夜の2時間をこの映画に投資する価値があるのか、あなたの好みに合う作品なのか。
核心には触れずに、その「見どころ」と「味わい」だけを抽出してお届けします。
さあ、極上の心理戦への招待状を開いてみましょう。
注意事項
あらすじや作品情報など、正確な情報を記載するように注意しておりますが、何分個人で運営しているため、誤りや見落としがあるかもしれません。考察は映画の解説ではなく、わたし個人の感想からきているものです。あらゆる基準がわたしの主観的な判断のよるものです。以上をご了承の上、読んでいただけると幸いです。
話題の就活ミステリー『六人の嘘つきな大学生』

本作は、浅倉秋成による大ヒット小説を実写映画化した作品です。
「就活」という極めて日本的でリアルな題材をベースに、閉鎖空間での心理戦を描いた「密室サスペンス」の要素を掛け合わせた点が最大の特徴です。
最終選考に残った6人の学生たち。彼らに課されたのは、たった一つの内定の椅子を巡る過酷な課題でした。
しかし、ある告発文をきっかけに、意識の高い優等生たちの仮面が剥がれ落ち、疑心暗鬼の渦へと巻き込まれていきます。
監督を務めたのは、『キサラギ』や『ストロベリーナイト』シリーズで知られる佐藤祐市監督です。
特に『キサラギ』で見せた「密室での会話劇」の巧みな演出手腕は、本作でも遺憾なく発揮されています。
限られた空間、限られた時間の中で、二転三転する状況をスリリングに描き出す手腕はさすがの一言。
脚本家には、緻密な構成と人間ドラマに定評がある矢島弘一を迎え、単なる謎解きに留まらない、人間の業や本性を浮き彫りにするドラマを生み出しています。
この映画はこんな人に向いている
浜辺美波や赤楚衛二のファン
まず間違いなくおすすめできるのは、主演クラスのキャスト陣のファンの方々です。
本作には、浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗、山下美月、倉悠貴、西垣匠という、現在のエンタメ界を牽引する若手実力派が集結しています。
彼らが演じるのは、表向きは完璧で優秀な就活生たち。
しかし、物語が進むにつれて見せる「裏の顔」や、極限状態で露呈する「素の表情」こそが本作の白眉です。
特に浜辺美波さんの演技には多くの称賛が集まっています。
清純なイメージを逆手に取ったような複雑な感情表現や、追い詰められた時の目の演技は圧巻。
また、赤楚衛二さんの持つ生来の「誠実さ」や「親しみやすさ」が、嘘と疑いが渦巻くこの物語においてどのような役割を果たすのかも見どころの一つです。
推しの俳優の、普段ドラマでは見られないようなヒリヒリとした演技合戦を見たい方には、たまらない113分となるでしょう。
没入型の心理戦や脱出ゲームが好きな人

『人狼ゲーム』や『逆転裁判』、あるいは密室劇の名作『12人の怒れる男』のような、議論と推理によって状況を打開していく作品が好きな方には、本作の構造は非常に魅力的です。
「誰が嘘をついているのか?」「この告発の真意は何か?」という謎が次々と提示され、観客もまた7人目の参加者として会議に参加しているような没入感を味わえます。
就職活動という日常的な設定が、徐々に異様なサスペンスへと変貌していくグラデーションを楽しめる方には最適です。
どんな雰囲気・テンポの映画か
就活会議が密室サスペンスへ
映画の冒頭は、爽やかで希望に満ちた青春映画のようなトーンで始まります。
優秀な学生たちが互いに切磋琢磨し、友情を育む様子は眩しいほど。
しかし、ある時点を境に雰囲気は一変します。
会議室という逃げ場のない空間で、悪意に満ちた「暴露」が始まると、画面全体のトーンも冷たく、張り詰めたものへとシフトしていきます。
佐藤祐市監督は、カメラワークと照明を巧みに使い分け、登場人物たちの心理的な圧迫感を映像として表現しています。
BGMが必要以上に煽りすぎず、あえて静寂を使うことで緊張感を高めている点も好印象です。
華やかな企業のオフィスビルという舞台が、逆に冷徹な戦場に見えてくる演出は見事と言えるでしょう。
中だるみしないスピーディーな展開
テンポに関しては、非常に現代的でスピーディーです。
長ったらしい独白で時間を稼ぐようなことはなく、次から次へと新しい事実や疑惑が提示されるため、飽きさせません。
特に前半から中盤にかけての「犯人探し」のパートは、ジェットコースターのような勢いがあります。
Amazonプライム・ビデオでの視聴であれば、途中でトイレに立つタイミングを見つけるのが難しいほど、画面に釘付けになる可能性があります。
見る前に知っておくと後悔しないポイント
伏線回収や心理戦を楽しむコツ
この映画を最大限に楽しむためのコツは、「画面の隅々まで注意を払うこと」そして「誰の言葉も鵜呑みにしないこと」です。
ミステリー映画の常として、何気ない会話や視線の動き、小道具の配置などに重要な伏線が隠されています。
「嘘つき」というタイトルが示す通り、登場人物たちは何かしらの秘密を抱えています。
しかし、その嘘が必ずしも「悪」であるとは限りません。
「なぜ、今その発言をしたのか?」「その表情の意味は?」と、常に疑いのアンテナを張り巡らせて鑑賞することで、後半に訪れる展開のカタルシスが倍増します。
また、就職活動特有の専門用語や空気感(自己分析、グループディスカッションなど)が出てきますが、知識がなくても文脈で理解できるよう丁寧に作られているため、就活未経験の方でも安心して楽しめます。
就活のリアルな描写
本作のもう一つの側面は、「就活あるある」を通じた社会風刺です。
面接官の前で作る「良い子」の自分、エントリーシートに書かれる誇張された武勇伝、そして採用基準の不透明さ。
これらに対する皮肉や問題提起が含まれています。
現在就活中の方や、かつて就活に苦労した経験がある方は、胸がチクリとするようなリアリティを感じるかもしれません。
しかし、そのリアリティがあるからこそ、フィクションであるサスペンス部分が際立つのです。
正直、合わないかもしれない人
ご都合主義な展開が苦手な人
エンターテインメント性を重視した作品であるため、厳密なリアリズムを求める方には、一部の展開が「少し出来すぎている」「偶然に頼りすぎている」と感じられる可能性があります。
特にミステリーのトリックやロジックに対して、小説のような完全無欠な整合性を求めすぎると、少しモヤモヤ感が残るかもしれません。
あくまで「劇場型サスペンス」として、勢いと感情のドラマを楽しむスタンスで観るのがおすすめです。
人間の暗部を見るのが辛い人
「イヤミス(読んで嫌な気分になるミステリー)」というジャンルほど後味は悪くありませんが、人間の嫉妬、傲慢さ、裏切りといった負の感情が真正面から描かれます。
登場人物たちが互いに罵り合ったり、過去の過ちを暴き立てたりするシーンには、精神的な消耗を伴う場合があります。
「今日は疲れているから、とにかくハッピーで平和な映画が見たい」という気分の時には、避けた方が無難かもしれません。
ネタバレなし総評
予測不能な結末を味わえる良作
総じて、『六人の嘘つきな大学生』は、Amazonプライム・ビデオで過ごす2時間として、十分に元が取れる良質なエンターテインメント作品だと思います。
前半の緊迫した心理戦から、後半に訪れる人間ドラマへの展開は、単なる「犯人当て」以上の感情を観客に残します。
「嘘」の裏に隠された本当の想いとは何なのか。
タイトルの意味が腑に落ちた時、当初抱いていた登場人物たちへの印象は大きく変わっているはずです。
レビューサイトでも「思ったより面白い」「引き込まれた」といった声が多く、安定した評価を得ています。
ポップコーン片手に、彼らの嘘を見破るゲームに参加してみてください。
ただし、見終わった後、自分の履歴書や過去のSNSを見直したくなっても、それは自己責任です。


